大きな音を出そうとして、つい腕に力が入ってしまう。レッスンでも、上腕や肘、手首を固めたまま打鍵している姿を見かけます。
本人はしっかり音を出しているつもりでも、硬い音になるばかりで、響きが飛んでいかない。指先にも、打鍵の衝撃がそのまま当たるような硬さが感じられます。
音量を増やすことは、そのまま力を増やすことではありません。大切なのは、打鍵の速さと、そのために身体をどう使うかです。
今回は、留学時代の師ジャック・ルヴィエから教わったことを交えながら、音を響かせるための身体の使い方について書いてみます。
肩甲骨から腕を使う
打鍵の速さを得るために、腕を大きく使います。腕の根元にある肩甲骨から動かすようなイメージです。
まず、予備動作で腕が一度浮き上がり、打鍵とともに下がる。そして、打鍵した瞬間には腕から先を緩めます。
上腕や肘、手首を力ませて固めていると、この動きがうまくできません。大きな音を出したいときほど、関節を自由に動かせる状態にしておくことが大切です。
体幹と手で、必要なところを支える
ルヴィエがよく言っていたのは、最低限の支えを残して、あとは関節も筋肉も自由にしておく、ということでした。
腕を自由に使うには、体幹で身体を支えておくことも重要です。腹圧をかけ、腹筋と背筋のバランスを取る。前の記事でも触れましたが、この支えを保ちながら腕を動かします。
そのとき、息を止めないことも大切です。身体を支えようとして、息まで詰めてしまわないようにします。体幹で支えながら呼吸も続けられているか、練習の中で確かめます。
手にも、必要な支えがあります。重音や和音を弾くとき、ルヴィエは「手がフォークになっているようなイメージ」を求めていました。打鍵したときに指が動いて、和音の形が崩れないようにする。その程度には、手の形を固めておく必要があるということです。
体幹で身体を支え、手は和音の形を保つ。そのうえで、上腕や肘、手首は自由に動かせるようにしておく。息を止めずに、この状態で打鍵できることを大切にしています。
打鍵した瞬間に緩める
ルヴィエからは、打鍵した瞬間に腕から先を緩めることも教わりました。
予備動作で浮き上がった腕が、打鍵とともに下がる。そのあと、緩めるのと同時に、自然にバウンドするような感覚があります。
自分から腕を持ち上げ直そうとしているわけではありません。打鍵したあとに力を抜くと、自然に戻ってくる。そのようなイメージです。
腕を下ろして打鍵するところで動きを終わらせず、そのあとに緩めるところまでを、一つの流れとして捉えています。
響きと指先の感覚が変わる
こうした弾き方ができると、音も変わってきます。
レッスンで感じるのは、硬くて飛ばなかった音が、空間に響くようになることです。力を込めた手応えと、実際に楽器が鳴っているかどうかは、必ずしも一致しません。
指先の感覚にも違いがあります。固めたまま弾くと、打鍵の衝撃が直接当たり、硬く感じます。うまく弾けていれば、指先にはもっと柔らかく感じられるはずです。
大きな音を出しているときも、その感覚は同じです。音量が増えたかどうかに加えて、響きが空間に広がっているか、指先が硬く感じられないかも、確かめる手がかりになります。
力を込める前に、動きを見直す
大きな音が欲しいとき、さらに力を入れようとする前に、身体の使い方を見直してみてください。
体幹と手に必要な支えを残し、息を止めずに、肩甲骨から腕を使う。予備動作から打鍵へとつなげ、打鍵した瞬間には緩める。
大きな音を出すときにも、ルヴィエから教わったことをもとに、こうした動きを大切にしています。力を込めた手応えだけに頼らず、実際にどんな音が響いているかを聴く。その響きと指先の感覚を確かめながら、弾き方を整えていきます。
本八幡でピアノレッスンをお探しの方へ
「大きな音を出そうとすると力んでしまう」「力を入れているのに、思うように響かない」。そんな悩みがあれば、レッスンでご相談ください。
ストライプミュージックスクールでは、実際の音と身体の動きを見ながら、弾き方を一緒に考えていきます。体幹や手の支え、腕の使い方、打鍵後に緩める感覚など、文章だけでは伝わりにくいところも、実演を交えてお伝えします。
本八幡駅から徒歩1分。レッスンの詳細や体験のお申し込みは、ストライプミュージックスクール公式サイトの「大人のピアノレッスン」ページをご覧ください。
