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「指が回らない」と感じたときに見直したい、練習の「組み立て力」

  • 執筆者の写真: Musashi Ishikawa
    Musashi Ishikawa
  • 2025年12月4日
  • 読了時間: 7分


練習の「組み立て力」が上達を決める



これまで様々な人のレッスンをしてきて感じるのは、ピアノ歴が長くても「自分なりの練習方法」をうまく確立できていない方が意外と多い、ということです。演奏の実力はかなりの部分で、この「練習の組み立て力」によって決まってくるのではないかと、僕は考えています。


演奏の際には、自分の出している音を正しく聴き取ることができる耳、自分がしたい表現に適した音色や響きを選び取る感性、それを支える身体の正確なコントロール、といった要素が必要になります。練習の場では、これらすべてについて試行錯誤を繰り返し、その都度フィードバックを得ながら調整していくプロセスが求められます。


その中でも今回は、「指が回らない」「どうしても弾きにくいパッセージがある」と感じるときに、どのように考え、どう練習を組み立てていけばよいのか、というテーマで書いてみたいと思います。




通して弾くだけでは、問題点が見えにくい



よく見かける練習のパターンとして、曲の最初から最後までを通して何度も弾く、というものがあります。本番が近づいていて、一曲を通じて集中力を保つ訓練をしたいときには、この「通し練習」は大いに意味がありますし、完成度を高めるうえでも必要なプロセスです。


ただ、基礎的な問題を改善したい段階では、通して弾くだけでは効率がよくない場合が多くあります。長い曲を弾きながら、どの箇所でうまくいかなかったのか、どの音が乱れたのか、どの瞬間に身体のどこが力んでいたのか、といったことをすべて記憶し続けるのは、相当難しい作業です。


それよりも、短いフレーズやごく短いパッセージに絞って集中的に取り組んだ方が、問題点がはるかに浮かび上がりやすくなります。検証と修正のサイクルを短く回せるため、フィードバックの回数も増え、自分の演奏をより正確に把握しやすくなります。




「指が回らない」原因は大きく2つ



では、具体的にどのように練習に取り組めばよいのでしょうか。ある曲の、ある短いパッセージで「どうしても指が回らない」と感じている場面を想像してみてください。この「指が回らない」という状態の原因は、多くの場合、二つのタイプに分けることができます。


ひとつ目は、ピアノ演奏でしか使わないような特殊な動きを一定以上のスピードで行おうとしたときに、筋肉や神経の準備がまだ追いついていない、いわば単純な運動能力不足の状態です。トリルや重音のパッセージなどが典型的な例です。特に成長段階にある子どもや、大人であっても初中級レベルの方の場合、まだその動きに身体が慣れておらず、準備が整っていないことがあります。


この段階では、それまでより一段階難しい曲に取り組むことで新しい動きを身につけようとしているという前向きな状況であることもあれば、単純に今の自分には難し過ぎる曲が選ばれている可能性もあります。一定期間、例えば数週間から一か月程度しっかり練習してもまったく手応えが感じられない場合は、選曲が現時点の自分に合っているかどうかを、先生に率直に相談してみる価値があります。似た動きを扱った練習曲で段階を踏む、テンポを極端に落として確実に弾ける形を身体に覚えさせる、といったアプローチも有効です。


ふたつ目の原因は、身体のどこかに生じている過度な力みです。ある程度の練習時間をきちんと確保しているにもかかわらず、どうしても弾けないパッセージが残るとき、その背景にはたいていこの力みがあります。特に、手首や肘、肩のあたりに余計な緊張があるケースが多く見られます。




力みを見つけるために、まず「観察」する



自分一人で演奏しながら身体の状態を客観的に観察することは、最初は簡単ではありません。それでも、レッスンなどを通じて正しい身体の使い方を学び、それを日々の練習の中で意識していくことで、少しずつ「楽な弾き方」が身についてきます。


力みを改善する第一歩は、自分がどのタイミングで、身体のどの部分に力を入れ過ぎているのかを知ることです。特定の指づかいをしているとき、指またぎや指くぐりを行うとき、手の大きな移動や跳躍の前後などで、急に腕や肩が固まってしまう人は少なくありません。


このような状況を見極めるためには、十分にテンポを落として、自分の身体の状態を把握できる速度で、問題のパッセージを繰り返し弾いてみることが有効です。その際、指先だけではなく、腕や肘、肩、背中、さらには座り方や重心の位置にも意識を向けてみてください。指の動きばかりに気を取られていると、身体全体がうまく使えていないことに気づかないまま、無理なフォームが固定されてしまうことがあります。椅子の高さや鍵盤との距離といった、基本的な姿勢の問題が力みを生みやすくしている場合もあります。




指づかい・視線・テンポという三つの視点



力みを具体的にほどいていくうえで、特に意識しておきたいポイントが三つあります。ひとつは指番号の選択、ひとつは視線の使い方、もうひとつはテンポ管理です。


まず指番号についてですが、無理のない指づかいを自分一人で設計できるようになるまでには、相応の時間がかかります。レッスンでは、先生の視点を借りながら、「どの指づかいなら余計な力みが少なく、音楽的な流れも保ちやすいか」を一緒に検討していくことが大切です。我流の指づかいは、その場しのぎでは弾けたとしても、長期的には手を痛める原因になることがあります。基本的には楽譜に記されている指番号を出発点とし、それがどうしても自分の手に合わず力みやすい箇所に関してのみ、別の案を試していく、という進め方が安全で効率的です。


次に視線について。レッスンをしていると、鍵盤を凝視するあまり、首が常に折れ曲がり、その結果として肩や肘、腕全体が固まってしまっているケースをよく見かけます。もちろん、大きな跳躍が続くような場面では鍵盤をしっかり見る必要がありますが、それ以外の多くの箇所では、少しぼんやりした広い視野の中で手元を見る方が、身体はリラックスしやすくなります。


僕のレッスンでは、時々、目を瞑って数小節、あるいは一フレーズだけ弾いてみることを提案することがあります。視覚情報をいったん減らすことで、身体の状態に意識を向けやすくなり、どこに力みがあるのか、どこが不自然に固まっているのかを、より繊細に感じ取ることができるからです。同時に、鍵盤を見続けなくても弾ける範囲を少しずつ広げていくことにもつながります。


最後にテンポについて。細かい音符が続くパッセージで、その部分だけ突然テンポが速くなってしまい、結果として弾けなくなっている、ということもよくあります。実際の曲のテンポよりも速く弾こうとしてしまっているために、自分で難易度を上げてしまっている状態です。


この場合は、メトロノームを使って曲全体のイン・テンポよりかなり遅いテンポに設定し、その速度で正しいリズムと指づかいを守りながら弾く、という作業を繰り返します。十分な余裕が生まれてきたところで、ほんの少しだけテンポを上げて同じことを行い、さらに余裕が出てきたらまた少し上げる、というように、段階的にテンポを引き上げていきます。こうした地道なステップを踏むことで、以前は「指が回らない」と感じていた箇所が、いつの間にか自然に弾けるようになっていることが多いはずです。




「練習の組み立て力」が上達を加速させる



無理なく演奏できる状態を、小さな単位での検証と修正の積み重ねによって少しずつ作り上げていくことで、弾きにくい箇所は着実に改善していきます。このとき大切なのは、原因を切り分け、仮説を立て、短いパッセージで試し、その結果をもとにまた調整していく、という流れを意識することです。


こうしたプロセスそのものが、「練習の組み立て力」と呼べるものだと思います。この力が育ってくると、一曲を仕上げるまでにかかる時間も、曲ごとの上達のスピードも、目に見えて変わってきます。


自分に合った練習方法は、一朝一夕で完成するものではありませんが、小さな工夫と検証を積み重ねることで、必ず自分なりのスタイルが形になっていきます。レッスンでは、そのプロセスをご一緒しながら、「指が回らない」「弾きにくい」と感じている箇所に対して、より具体的なアプローチを一緒に考えていければと思っています。




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ストライプミュージックスクールでは、こうした「練習の組み立て方」そのものも含めて、ひとりひとりの身体や目標に合わせたレッスンを行っています。

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