大人のピアノ再開は何から?ブランク後の曲選びと練習の考え方
子どもの頃や学生時代に習っていたピアノを、もう一度弾きたい。
仕事が落ち着いたり、退職を迎えたりして、そんな気持ちになる方もいらっしゃると思います。
久しぶりに鍵盤に向かうと、懐かしさを感じる一方で、「昔はもっと弾けたのに」「基礎から全部やり直した方がよいのだろうか」と迷うこともあるでしょう。
ピアノを再開するとき、以前と同じように弾けることを、最初の目標にする必要はありません。
今、弾きたい曲に取り組みながら、無理のない自然な弾き方を身につけていく。
その過程で、昔はうまくできなかったことが、以前より楽にできるようになることもあります。
この記事では、大人になってピアノを再開する方に向けて、最初の曲の選び方や練習の考え方を、実際の指導経験をもとにお伝えします。
大人のピアノ再開は、一人ひとり出発点が違う
ピアノを再開される方の学習歴や、楽器から離れていた期間はさまざまです。
当教室にも、仕事が忙しくて弾けなかったけれど、退職や役職定年などをきっかけに時間ができた、という方がいらっしゃいます。
以前どのくらい習っていたかも違えば、今どのくらい練習できるか、これから何を弾きたいかも違います。
そのため、ブランクの年数だけで「この教材からやり直しましょう」と一律に決めることはできません。
昔使っていた教本や弾いていた曲は、これまでの経験を知る手がかりになります。ただし、それだけで今取り組む内容が決まるわけではありません。
再開にあたっては、過去の学習歴とともに、今の希望と実際の演奏の状態を見ていくことが大切です。
再開する曲は、本人が弾きたいものから
「再開するなら、まずどの曲を弾けばよいですか」と聞かれたら、私はまず、ご本人が弾きたい曲を伺います。
昔弾いていた曲でも、以前は手が届かなかった憧れの曲でも構いません。
当教室に来られる方は、弾きたい曲だけでなく、「この教材をもう一度やりたい」と、ご自身の希望が決まっていることも少なくありません。
そうした希望は、レッスンの大切な出発点になります。
バイエルやハノンからやり直す必要はある?
ブランクがあるからといって、全員が同じ基礎教材の最初に戻るわけではありません。
ご本人が取り組み直したい教材があれば、それも選択肢です。一方で、弾きたい曲があるのなら、その希望と現在の状態を踏まえて、必要な課題を考えていきます。
基礎を見直すことは大切ですが、「昔習った順番を、もう一度すべてたどること」と同じではありません。
どこを復習する必要があるのか、何を改善すると弾きやすくなるのか。教材を使う場合も、その目的をはっきりさせたいところです。
弾きたい曲が難しい場合は?
弾きたい曲を出発点にすることと、最初からその曲を完成させようとすることは別です。
今すぐ取り組める部分と、準備が必要な部分を分けて考えることができます。
目標とする曲があるからこそ、必要な練習に意味を感じられることもあるでしょう。
大切なのは、希望を持ちながら、実際の進め方は無理のないものにすることです。
再開後の練習で気をつけたい「完璧主義」
再開する大人の方を指導していて、気になることの一つが、完璧主義になりやすいことです。
一曲をきちんと弾きたいという気持ちは大切です。ただ、すべてが満足できる状態になるまで先へ進めないと、学習の進め方が窮屈になることがあります。
たとえば、「一度も間違えずに弾けなければ、この曲は終われない」と考えると、同じ曲に取り組み続けることになります。
その曲で今学ぶべきことが身についているのであれば、別の曲へ進み、違う音型や響き、表現を経験することにも意味があります。
一曲ごとに、取り組む目的を考える
すべての曲を同じ完成度まで仕上げる必要はありません。
じっくり仕上げたい曲もあれば、ある課題を学ぶために取り組む曲もあります。
「今回は何ができるようになればよいのか」が分かると、できていない部分だけでなく、身についたことにも目を向けやすくなります。
もちろん、うまく弾けない箇所をそのままにしてよい、という意味ではありません。必要な課題には取り組みながら、どの段階で次へ進むかを判断することが大切です。
この匙加減も、レッスンで指導者と一緒に考えられる部分です。
「昔のように弾く」を目標にしなくてもよい
再開すると、どうしても昔の自分と比べたくなるかもしれません。
ただ、私は「昔のように弾ける状態」を、そのまま追い求める必要はないと考えています。
以前は最後まで弾けていた曲でも、当時から弾きにくさを抱えていた可能性があります。その弾き方をそのまま取り戻すことが、今の自分にとって最善とは限りません。
無理のない自然な奏法が身につくことで、昔よりも解決できることがあります。
再開は、以前の演奏を再現するだけの機会ではありません。これまでの弾き方を見直し、もっと弾きやすく、表現しやすい方法を学ぶ機会にもなります。
昔の水準に戻るまで、どれくらいかかる?
気になることだと思いますが、学習歴も現在の状態も違うため、一律に期間を示すことはできません。
それ以上に、以前の水準に戻るまでを「準備期間」と考えなくてもよいと思います。
今取り組んでいる曲で、弾きにくかった部分が楽になる。音楽の流れを理解して、自分の意図を持って弾けるようになる。そうした変化も、上達です。
過去との比較だけでなく、今の演奏にどんな変化が起きているかを見ていきましょう。
練習は、今の生活に合わせて続ける
仕事が落ち着いてピアノを再開しても、毎日十分な練習時間が取れるとは限りません。
できれば、1日10分でも日々鍵盤に触れられるのが理想です。ただ、仕事や生活には、ピアノより優先しなければならないこともあります。
趣味として取り組むのであれば、練習できなかったことを必要以上に気にせず、時間があるときに取り組めばよいと思います。
短い時間では、取り組む箇所を絞る
限られた時間で練習するときは、毎回最初から最後まで弾くことだけにこだわらず、課題のある短い部分に取り組む方法があります。
弾けないところはテンポを落とし、必要に応じて片手ずつ、一小節ずつ確認する。できるようになったら前後をつなげていきます。
また、指を動かすことだけに意識を向けず、その部分をどのような音楽として弾きたいのか、イメージを持つことも大切です。頭の中で捉えにくければ、声に出して歌ってみてもよいでしょう。
練習の基本的な進め方は、関連記事「大人のピアノ初心者は何から始める?」でも詳しく紹介しています。
再開時のレッスンで、一緒に考えられること
ピアノを習い直す意味は、間違った音を直してもらうことだけではありません。
弾きたい曲に向けて、今どんな取り組みが必要なのか。弾きにくさを感じる部分で、身体をどう使っているのか。一曲をどこまで仕上げて、次へ進むのか。
こうしたことを、実際の演奏をもとに一緒に考えられます。
以前に習っていた経験がある方でも、自分の弾き方を外から確認してもらうことで、新しい発見があるかもしれません。
大人のピアノ再開では、昔の自分を追いかけることだけを目標にせず、今弾きたい音楽を大切にしてほしいと思います。
無理のない自然な奏法を学びながら、これからのピアノとの付き合い方を作っていきましょう。

本八幡でピアノを再開したい方へ
ストライプミュージックスクールでは、久しぶりにピアノを再開する大人の方のレッスンを行っています。
弾きたい曲や、もう一度取り組みたい教材があれば、ぜひお聞かせください。ご希望と現在の演奏を踏まえて、身体の使い方や練習の進め方を一緒に考えていきます。
本八幡駅から徒歩1分。レッスンの詳細や体験のお申し込みは、ストライプミュージックスクール公式サイト大人レッスンページをご覧ください。



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