大人のピアノが上達しないのはなぜ?練習を見直すポイント
「ピアノを練習しているのに、なかなか上達しない」
「いつも同じところでつまずいてしまう」
ピアノを続けていると、そんなふうに感じることがあると思います。
上達を感じられないときは、まず、普段の練習で何に取り組んでいるかを振り返ってみましょう。
弾けるようにしたい箇所に、必要な練習ができているか。その練習を身につけるだけの時間や回数が取れているか。また、実際には変化しているのに、自分では気づいていないこともあります。
この記事では、大人のピアノレッスンでの指導経験をもとに、上達に行き詰まったときに見直したいポイントをお伝えします。
まず、練習で何に取り組んでいるかを確認する
「上達しない」と相談されたとき、私がまず確認するのは、練習で何に取り組んでいるかです。
同じ30分でも、曲を最初から最後まで弾いているのか、弾けない箇所を取り出して練習しているのかで、取り組んでいる内容は変わります。
たとえば、毎回同じところで止まってしまうのであれば、その箇所について、
片手ずつなら弾けるのか
テンポを落とせば弾けるのか
音やリズムを正しく理解できているか
を確認すると、練習すべきことを絞りやすくなります。
「今日はこの部分を、ゆっくり両手でつなげる」のように、その日に取り組むことを具体的にしてみてください。
練習を終えたときも、「曲全体が上手に弾けたか」だけでなく、その課題にどんな変化があったかを確認できます。
練習方法だけでなく、練習量も必要です
練習の工夫は大切ですが、方法を変えるだけですべてが解決するわけではありません。
実際のレッスンでは、取り組み方以前に、必要な練習量をまだ確保できていないことも多くあります。
やり方を理解することと、それを演奏の中でできるようにすることには、隔たりがあります。理解したことを実際に試し、繰り返し確認する時間が必要です。
ただし、これは「忙しくても、もっと練習しなければいけない」という話ではありません。
大人には仕事や家庭があり、ピアノに使える時間は人によって違います。趣味として取り組むのであれば、生活を優先してよいと思います。
練習時間を増やせないときは、取り組む範囲や、目標までの期間を調整する。
そのように考えると、無理なく続けやすくなります。
少ない練習時間で大きな変化を求めすぎると、実際には少しずつ進んでいても、「上達していない」と感じやすくなってしまいます。
弾けないところを、同じテンポで繰り返していないか
弾けない箇所を、元のテンポのまま何度も弾き直す。これは、レッスンでもよく見かける取り組み方です。
しかし、毎回同じようにつまずいているのであれば、一度条件を変える必要があります。
まずはテンポを落とし、短い単位に分けてみましょう。必要なら片手ずつに戻ります。一小節を確実に弾けるようにしてから、前後とつなげていきます。
大切なのは、繰り返すたびに勢いで乗り切ろうとせず、できる状態を作ってから積み重ねることです。
具体的な練習の手順は、関連記事「大人のピアノ初心者は何から始める?」でも紹介しています。
音を並べるだけになっていないか
楽譜に書かれた音を順番に弾けるようにすることは、練習の一つの段階です。
ただ、どの鍵盤をどの指で押すかだけに意識が向くと、音色やフレージングへの注意が薄くなることがあります。
フレージングとは、音楽のまとまりや流れを、どのように形にするかということです。
どこへ向かって音楽が進むのか。どこでひと息つくのか。どんな音色で弾きたいのか。
こうしたイメージがないまま指だけを動かしていても、演奏として何を改善したいのかが曖昧になってしまいます。
鍵盤に向かう前に、歌ってみる
私は、頭の中で音楽をイメージすることが先にあると考えています。
弾こうとしている部分を、まず自分で歌ってみてください。頭の中で捉えにくければ、声に出して構いません。
歌の上手さを確かめるためではありません。音やリズム、フレーズの流れを、自分がどのように理解しているかを確認するためです。
片手ずつ練習している段階でも、それぞれの手の音楽を歌えるのが理想です。
そのイメージを持って鍵盤に向かうことで、指を動かすことと、音楽を表現することを結びつけていきます。
ゆっくりなら弾けるのに、速くすると崩れるとき
ゆっくりなら弾ける部分を速くしていくには、少しずつテンポを上げることが、結局は一番早いと考えています。
一度ゆっくり弾けたからといって、すぐに目標のテンポまで上げる必要はありません。
少し速くしてみて、音やリズムが崩れるのであれば、テンポを戻して確認します。短い範囲で安定してきたら、前後をつなげていきましょう。
目標のテンポで歌えるかも確認する
速く弾けない方の場合、弾きたいテンポでその部分を歌えないこともよくあります。
指の動きだけを速くしようとしても、音楽の流れをその速さで捉えられていなければ、演奏を進めるのは難しくなります。
テンポを上げる練習と合わせて、目標のテンポで歌えるかも確認してみてください。
歌えることだけで指の課題がすべて解決するわけではありませんが、弾けない原因を考えるうえで、大切な確認になります。
実際には上達していても、自分では気づかないことがある
本人は「全然上達していない」と感じていても、指導する側から見ると変化していることはよくあります。
一曲を最後まで弾けるようになった、難しい曲に進んだ、といった変化は分かりやすいでしょう。
一方、曲の途中にある小さな変化は、自分では見落としやすいものです。
たとえば、上達を振り返るときには、
以前止まっていた箇所を、つなげて弾けるようになった
リズムが以前より安定した
フレーズの流れを考えて弾けるようになった
弾きにくかった部分を、前より楽に弾けるようになった
といった点も確認できます。
私はレッスンで、変化した点を具体的に伝えるようにしています。
「上手になりました」だけでなく、何がどう変わったかが分かれば、本人もこれまでの取り組みを振り返りやすくなるからです。
まだできないことがあることと、上達していないことは同じではありません。
できていない箇所に取り組みながら、すでに変わった部分にも目を向けてみてください。
行き詰まったら、普段の練習をレッスンで共有する
レッスンを受けている方は、「ここが弾けません」と伝えるときに、普段どのように練習しているかも話してみてください。
どの箇所を、どのくらいのテンポで、どんな方法で練習しているのか。それを共有すると、取り組み方を変える必要があるのか、今の練習をもう少し積み重ねる段階なのかを考えやすくなります。
上達を感じられない理由は、一つとは限りません。
練習する内容を絞った方がよいこともあれば、繰り返す時間が必要なこともあります。演奏したい音楽のイメージを、先に確かめた方がよい場合もあるでしょう。
そして、すでに起きている変化を確認することが、次の練習につながる場合もあります。
「上達しない」と感じたら、まずは今取り組んでいることを具体的に振り返ってみましょう。そこから、次に必要な練習を考えていくことができます。

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