ピアノの弾き方 その1「きれいな音を出すために」

はじめに

みなさま、こんにちは。ピアニストの石川武蔵です。今回からシリーズ形式で「ピアノの弾き方」について少しずつ掘り下げていきます。第1回のテーマは「きれいな音を出すためには何が必要か」です。

ピアノが鳴る仕組みを知って綺麗な音を出しましょう
ピアノが鳴る仕組みを知って綺麗な音を出しましょう

1. そもそも“ピアノを弾く”とは?

ピアノから音を出そうとすると、多くの方が真っ先に思い浮かべる動作は「鍵盤を下げること」でしょう。確かに鍵盤を押せば音は鳴ります。しかし “きれいな音色” を得るためには、ただ鍵盤を沈めるだけでは不十分です。

2. ピアノの弾き方:

ピアノが鳴る仕組みを知ろう

グランドピアノの鍵盤をゆっくり押していくと途中でわずかな "引っ掛かり" を感じます。ここはアクション内部でジャックがレギュレーティング・ボタンに触れ、ハンマーがローラーから外れる瞬間です。ハンマーが弦へ飛び立った後、演奏者が鍵盤にどれだけ力を加えても音色には影響できません。

要点

ハンマーを“飛ばす”ポイント(エスケープメント)まで、いかに速く鍵盤を

動かせるかが音質を大きく左右する。

3. “速い打鍵” の正体

では、どうすれば鍵盤を速く動かせるのでしょうか。答えは「指先で鍵盤を“つかむ”感覚を持つこと」です。

  • 人の手は“物をつかむ”動きが最も自然かつ強い。指先が鍵盤を包み込むように動くと、手のひらと腕の筋肉を無理なく連動させることができます。
  • 脱力=力を抜くことではなく、余計な緊張を取り除いたうえで必要な筋肉を効率よく使うこと。“つかむ”動きに集中すると、肩や肘の不要な力みが自然にほどけ、速い打鍵が実現します。

4. まとめ ー 鍵盤を“つかむ”感覚を身につけよう

  1. ハンマーが弦に向かうまでの区間が音色を決める。そこを最速で通過させる意識を持つ。
  2. 指先で鍵盤を“つかむ”イメージが、速く・無駄のない打鍵につながる。
  3. 脱力とは“準備が整ったニュートラル”のこと。速い動きができれば、ゆっくりも自在にコントロールできる。

ぜひ、ご自身のピアノで "鍵盤をつかむ" 感覚を試してみてください。次回は「タッチと体重移動の関係」についてお話しする予定です。

それでは、また次のブログでお会いしましょう。

石川武蔵
石川 武蔵

ピアニスト。パリ国立高等音楽院ピアノ科修士課程を首席で修了。ストライプミュージックスクール代表として、大人レッスンと音高・音大受験を担当。

目次
  1. はじめに
  2. 1. そもそも“ピアノを弾く”とは?
  3. 2. ピアノの弾き方:
  4. ピアノが鳴る仕組みを知ろう
  5. 3. “速い打鍵” の正体
  6. 4. まとめ ー 鍵盤を“つかむ”感覚を身につけよう